好奇心の赴くままに。

理系大学院生が好奇心のままに書き綴ります。

理系大学院生が水素水を考える。

こんにちは。

頭の体操もかねて、今日は理系っぽい記事を書きたいと思います。

 

お題は「水素水」。

 

2、3年前に大きくメディアで取り上げられましたよね。

皆さんは「水素水」をどう受け止めたでしょうか。

 

私の大学では、当時生協に水素水コーナーが設けられたのですが、

教授も学生もネタ感覚で購入していました。

 

私もなんとなく「怪しい」と感じて手を出してこなかったのですが、

ここは理系らしく、改めて科学的に考えてみようと思います。

 

 

水素水は体にいいのか?悪いのか?

私は「体に悪くはないが、いいものとは必ずしも言い切れない」と思います。

なぜなら、水素が人体に及ぼす影響性について、科学的根拠が不足しているからです。

 

水素水と健康の関連が注目されるようになったのは2007年と最近で、水素がどのように人体に作用するのか、どんな健康効果があるのか、まだまだ未解明な部分が多いです。

 

明治大学科学コミュニケーション研究所(http://www.sciencecomlabo.jp/health_goods/active-hydrogen-water.html)でも

現在までの水素水に関する研究報告について

・ヒトのサンプル数が少ない

・「健康的なヒト」を対象にした研究報告が少ない

・追試験が行われていないものがほとんどのため、再現性がない

・現時点のデータが局所的なものにとどまり、全体としてよいデータが得られた例が少ない。

と指摘されています。

 

今後の研究次第ではよい効果が認められるかもしれない

ただ、一概に「怪しい」と一蹴しなくてもよいと思います。

コーヒーの健康効果についても明らかになったのは最近の話で、これまで体に悪いものとされていました。

また、日本酒やビールでも、適量であれば体に良い効果があるという研究報告もあります。

 

水素水はまだ歴史が浅いので、これから研究が進むにつれて水素水の良さがわかってくると面白いですよね。

 

漢方薬だって、その効果が科学的に裏付けられるようになったのは、ごく最近なのだから。

 

ペットボトル入りの水素水は怪しい

水素水の効果はさておき、市販の水素水でペットボトルに入ったものがありますよね。

あれはさすがにちょっと…と思います。

 

理由は、ペットボトルの材料であるポリエチレンテレフタレート(PET) は化学構造に隙間があり、小さな水素ガス分子がそこから逃げてしまうからです。

 

水素ガス分子、めちゃくちゃ小さいんです。0.28 nm(動的分子径)です。人の細胞の大きさ平均が 20 ㎛ (20000 nm)なので、ヒト細胞に対して約7万分の1の大きさ

 

なので、アルミ製パックに入れられているものは水素透過しにくいのですが、ペットボトルは水素ガスが抜けてしまうため、ペットボトル材料本体に特殊加工がなされていない限りはただの水になってしまっていると思います。

 

1.6 ppm以上の水素水についても疑問

水素水で3.0 ppmというような、高濃度を売りにしているものがありますが、これは科学的に疑問があります。

 

そもそも、常温(20˚C)で通常の状態(大気圧101. 3kPa)では、水素の水に対する溶解度の限界は約1.62 ppmで、それ以上水に水素が溶けることはあり得ません。

(1.62 ppmは水素ガスの溶解度値からアボガドロの法則を用いると算出できます。)

 

もし溶けるとしたら、パッケージ内部の圧力が高い状態だと思いますが、開封時にパッケージの圧力は大気圧に変化するので、口にする時にはいかほど水素が含まれているでしょう。

 

ここら辺はやはり怪しいな~と思います。

 

まとめ

水素水自体はこれから研究が進み、面白い効果が見出されてきそうな感じはします。そ言った面ではワクワクしますが、現状市販の水素水に関してはやはり怪しいと思いました。

 

しかし、論拠がない以上、健康や美容は水素水に頼るより、ほかの食品で補った方がいいんじゃないかなぁって思います。でも人体と食材の関わりって複雑なので、どの食品も健康かどうかはっきり言うことが難しいんですけどね…。

 

好きな物食べて運動するのが一番幸せかも。

 

 

もっと数値を用いて深堀りしたかったのですが、きりがないのでここまでにします。笑

ではでは。