人手不足で日本の労働力は減っているのか?
「少子高齢化」、「人手不足」、「売り手市場」。どれも今の日本社会でよく耳にする言葉です。どの業界でも人が足りていないと言います。
私自身も就職活動で企業の人事や社員の方から、「人手不足」という言葉をよく聞くので、事実なんだろうと感じています。
少子高齢化だから、働ける人は減っていて、企業も人材確保に苦戦を強いられる環境にある、と考えていました。
しかし実際は逆に、日本の労働者は年々増えているのです。
では労働者が増えているのになぜ「人手不足」なのか?
今回はそれについて分析したいと思います。
目次:
日本の就業者が増えている理由
下記サイトによると、日本の就業者数は2012年以降、連続で増加し続けています。そしてこの就業者を年齢内訳では、高齢者の割合が特に上昇しているようです。
つまり、「少子高齢化」による人口減少を上回る勢いで、従来労働力になりえなかった高齢者が大きな労働力をもつようになったことがわかります。
また、働き方改革でこれまで労働に参加しなかった学生、主婦にも労働に参加する機会ができたことも就業者数増加の一因でしょう。
つまり、現代では労働者は増え、その属性(年齢、性別、未婚・既婚)も多様化していると考えられます。
それでも企業数は減っている
しかし経済産業省の調査では、日本の企業数は減少の一途を辿っています。
下図は1999年から2014年の日本企業数の推移です。全体では2009年から2014年の5年で39万者(約10%)減少しています(ちなみに単位が「社」でなく「者」なのは、企業数=会社+事業者でカウントしているためです)。特に小規模企業は1999年から2014年で100万も減少しています。
・企業数推移
増える大企業、厳しい状況にある小規模企業
労働者は増えているのに企業数が減っている…ということは、多くの労働者を持つ大企業が増えている?
答えはYESですが、もう少し違う切り口で見てみたいと思います。
下記データは企業規模ごとの一者あたりの労働者数変化です。①大企業、②中規模企業ではどちらも増加しています。一方で、③小規模企業は労働者が減っており、規模が縮小していることがわかります。ここからある程度の企業はこれまで以上の労働力を確保できている一方、小規模企業では人手不足が深刻化していることが分かります。
・企業規模ごとの一者あたりの労働者数変化
日本の企業全体の8割以上は小規模企業です。その小規模企業が人材確保に苦戦している、このことが労働力が増えているのに人手不足と言われる大きな要因なのではと思います。
また大企業、中規模企業でも、働き方改革で多様な労働者が労働力として加わった反面、労働者に合わせた仕事を采配するのは、難しい課題だといえます。それに対しても多くの人が必要なのだと思います。
しかし労働者は増えているのだから、労働者の属性に合わせた仕事をうまく采配し、また中小企業にも人が来てもらえるようなシステム作りが求められているのだな、と感じました。
まとめ
・日本の労働力は増えている
・小規模企業よりある程度の規模の企業に対して労働力が集中している
・小規模企業の人手不足は深刻化している
・労働者属性(年齢、性別など)の多様化や働き方改革から、中規模企業、大企業もより多くの人が必要になってきていると考えられる
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf